夏料理/佐々宝砂
 
打ち寄するものみな死せり海灼くる

草いきれ何もかも恥づかしきとき

雲の影渡りてゆけど砂灼くる

はさまれしメモの謎めく書を曝す

切るものと刺すもので食ふ夏料理

  *

拉致せよと素足を垂らす窓辺かな

夏芝居仮面の裏に血の雫

揚花火仰ぐ喉もと傷あかし

主(あるじ)には首の傷なき夏館

涙して脅えしものを夏料理


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