Yへ/haniwa
 
留守番電話に入っていたYの声
「あ.うん,ごめん……死にたいです.じゃあね(笑)」
そしてあわてて書いたようなメール
『留守電に変なメッセージ残した.気にしないでくれ』
電話をかけなおすとYは酔っ払っていて
僕らはいつものように自虐的に笑う

「人生は長すぎるよ.この一秒一秒をどう処理していいかもうわかんない」

親戚のおばあさんが死んだ
誰も受付をやる人間がいないので
僕と母が席についた
身内以外の受付カードは3人分しかたまらなかった
泣く人は何人かいたけど
僕はその人のことをほとんどおぼえていなかったので
泣けなかった
すべてはたんたんと進んでいった
通夜振舞
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