同じでないもの/アシタバ
階段を駈けあがる音つづいて扉をたたく音
新聞屋のたぐいかと思えばきみ
洗い立ての髪が匂う
いつかの女の子と同じシャンプー
がさごそいう白いポリ袋も同じ
決まって長葱が顔を出す
深刻そうな顔をしていると
笑われる
それも同じ
眠そうな顔をしていると
怒られる
それも同じ
言いかけたことを途中でやめて
横目でうかがっている
それも同じ
帰るとき
ぼくの声に振り向かない
それも同じ
同じじゃないのは
たばこと書かれた看板の前で
立ちどまるくせがある
だけどきみは煙草は吸わない
よく見ると
ぼくの名前ときみの名前
相合傘で並んでいる
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