戯れ言3/美味
1.
風邪が押してきた
したがって私は引いたのだ
それならばと
風を押してみた
すると、私は実に無力であることを
思い知らされたのだった
2.
趣味も思考も
全く違う二人だけれど
一つだけ
一緒なことがある
二人とも
末端冷え性で
冬場は辛さを分かち合っている
3.
指が粉に変わる
足が粉に変わる
粉に呑まれていく
身を粉にして
あなたはそんな私を
平気で焼いて食べるのだ
まんまるうまいと言って
まんまる私も嬉しいのだけれど
4.
時計は目覚ましを鳴らしたいとは
思っていない
時間を正確に刻もうと
考えているわけでもない
ただ、今日が何日であるのかが
常に気になっているのだ
そして
カレンダー付であれば良かったと
本気で嘆くのだ
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