置き手紙/
夕凪ここあ
揺れる
カーテンの裾の
ほころびに揺れる
春と呼ばれた香りが
部屋の中で静かに声を潜めて
消える
まばたきの間に
ひとつ、ふたつと零れる花びら
風が
新しい季節が来ることを告げる
ほころぶ春に
あれは
置き手紙
戻る
編
削
Point
(4)