Dead Line/腰抜け若鶏
今日、俺は死ぬはずだった
未来の自分の背中に、ある日モヤがかかり
日に日にぼんやりとその後姿が濁りだし
ついには全く見えなくなってしまってから
もうずいぶん時が経っていた
ある日、俺はじきに死ぬと思った
自分の体をつなぎ止めるネジ
それが少しずつ外れていくようだった
手、足、目、腹、胸、指、心臓
ぽろぽろぽろぽろ
何かをする度に一つずつ一つずつ
外れていくようだった
昨日の夜、俺は明日死ぬんだと感じた
だから遺書を書いた
今日、俺は死ぬはずだった
けれど、いきなり前から光が差し込んだ
俺は目が眩んだ
だから無意識に手を前に伸ばした
あった
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)