飛行/石川和広
「悩んでいます」という場所の
奇妙な安定感
むさぼる後ろ向きの安逸
それらに苛立つ
しかしそれははじまり
冷たい風がふく
ゆっくり歩いている
スタンバイする
内観する
飛行へ
からっぽがふくらんで
大きく大きく風がふいていく中を
降下していく鳥
鳥たち
わたしたち
ぼくは過去におそわれている
おそわせている
大いなる生きることの限界まで
落ちていく
ぼくは鳥
生きている
ウィルスをまきちらす
ウィルスのように広がり
繁殖し多数になること
抵抗すること
やわらかくあらがって迎え入れる空間を作ること
でも届かないかもしれない
詩人の
そしてその外へと
詩へと
とんでいく
風にもまれている
届けばいい
詩人の
詩人の
そしてその外へと
詩へと
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