ファイアスターター/篠有里
 
突が彼を苛み、一人の人間の山。
それを知るいかなる方法もまたありません。
都市が、一人残らず、いかなる方法種類によって
人を気が狂っている状態に置き、
だからといって自然が優しくあるわけもなく、
それより過酷に人を狂わせゆく事実。
彼は、いつ、燃えている火を後悔しましたか?
火を消そうとして、砂利が敷き詰められた駐車場を
一人転げ回ったその時?
柔らかな瞼が焼かれたその時?
それとも火をつけたその瞬間?
最後まで、目を閉じることも許されません。
一方、それは、最期まで苦しみに苦しみ抜いて、
酷く苦痛があって、そして最後の最期の瞬間まで
確実に死んだに違いないのです。
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