ファイアスターター/篠有里
 
心が失敗して挫けそうになるほど、暑いその日あるいは、
静かな厳しい夏。
それにかかわらず時間が止まったか、このような一日。
私はまた置いていかれました。
あなたは知っていますか?
あなたは焼身自殺について知ってますか?
自分自身で燃えて自分を殺します。
(幾ばくかの事実)
はい、知っています。
この全面の緑、夏の青、それしかない此処です。
此処より先には何もありません。
静かすぎる、山の奥の、営林署の片隅で、
男は自分に火をつけました。
ここは、彼自身の内密でとても静かな山の一部、
男性はファイアスターターです。


{引用=「都会から来た若い職員だってさ。いき
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