「いつかの少年」/しいたけ
 
あれは いつの頃だったでしょうか

公園にあった 長い滑り台
私ははしゃいで 滑り降りた
気を付けたつもりだったのに
両足を開いて 速くなりすぎないようにしたのに
震えてしまうほどに 私は落下して
前乗りめりに地面にぶつかった

泣き声を上げる私を あなたはただ黙って抱きしめ
笑顔を見せてくれましたっけ

だから私は 泣いていることすらも忘れ
走り回りましたっけ


年月が過ぎ去り 私の瞳がゆがみ始め
他人の粗探しばかりするようになり
捻じ曲がり 折れ曲がりながらも 進もうとする
その 足跡は
風に吹かれ 雨に流されてしまいました

立ち止まって 何かを
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