未詩 「 世界は少しずつ少しずつ磨り減って 」/砦希(ユキ)
 
   
                          かすかな音を たてながら

      この川の水は
      あまりにも冷たくて
      これ以上ここにいたら 
      凍えてしまう
     
             だけどきっと


                            すぐには死ねない

 


さあ いよいよ雨が降ってきた
この雨をどれだけ待ち侘びていたか知れない
この雨はわたしを濡らしあなたを濡らしわたしたちの子を濡らす
わたしの渇いてしまっていた心もいつか濡らし
忘れかけていた恋も濡らすだろう


[次のページ]
戻る   Point(1)