そこにひとが 生きていたのだ (老人施設にて)/第2の地球
 
とある 老人施設にて

歯が無くなり
噛む力が無くなり 
食べる気力が無くなり
お粥や細かく刻んだおかず(超刻みと呼ばれています)しか
召し上がれなくなった お年寄りのご家族から

「人間の食べるものではない まるで餌を待つ鳥のようだ
硬くてきちんと噛めるものを
食べさせてください 人間の尊厳まで奪うのか」とのお話を頂戴しました


「尊厳」という言葉は非常に 体裁のいい言葉だと思います

口から食べることすら困難で 胃に直接穴を開けて 流動食を流しても
なお 生きているひともいる
一日の全部まるごとを 布団の上で 天井のシミを見つめる生活もある
骨が見えるほど
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