友待ち雪/フユキヱリカ
 

 
雪の聲がした。


急いで玄関に出てみると
吐息が 曇天を埋めるように、
真綿のような牡丹雪が
くるくる廻りながら白く染めていく。

庭先の物干し台を。
ヤツデの木を。
向かいの家々の屋根を、白く。白く。


濡れたアスファルトにも薄くつもり始めていた。
それを掻き集めて、あたしはてのひらに溶けていく様を
初めて雪を見る子どもみたいに
握ってみたり、覗いてみたりしていた。

コートを着てくるのも忘れ、ただ指先の冷たさを。

駆け出して、叫びたいくらいだ。


君の為に降らせた雪だよ。

なんて。



 2004/12/29

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