不調のわけを/りっと(里都 潤弥)
ドラゴンが海でサザエを踏んづけて火を吐くくらい調子が悪い
留守電に胸の痛みを訴えて2杯目のお茶布団にこぼす
休日の夜コーヒーと似た味の体外分泌 ざわついている
空っぽの部屋が寒くて歯車の合わない夜に縦笛を吹く
ナマモノを君に届ける猫の背に中毒患者の小刻みなキス
「耳鳴りが右と左で違うんだ。ごめんお休み。」葱巻いたまま
横になり喉の痛みのひどい日はリンパが子供を一人産んでる
初対面の娘を右の肩に乗せママは小象に似てたと言おう
冷蔵庫に蟻をいっぱい詰め込んで「夢だったのかもしれない」泣いた
夏がまだ僕の瞳を燃やすから不調のわけを話せずにいる
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