死骸/
月
死んだ小猿の死骸を抱きしめている親を見た
朽ちてゆく体を 抱きしめていた。
分かってないんだ。
切ない
切ないよ 泣きたくなる
ブラウン管の中の出来事に目が奪われた
親の目に
片手で引きずる小猿の死骸
切ないよ 泣きたくなる
パチン と消したテレビの音
あぁ さっきの親はどうしているだろうか
まだ心の叫びを訴えているだろうか
『誰にも渡さない』
叫びが真っ暗な画面から聞こえた気がした。
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