雷造じいさんへの手紙/
服部 剛
う人々の微笑みを探しながら
僕は歩み続けよう
今日は日曜日
布団から身を起こし
窓の外を眺めると
公園の木々は
うっすらと桜の色を帯びはじめ
日の光をそそがれながら
無数の蕾を開き始めていた
階下から
姪が元気な声を上げて廊下を駆け回る足音が
とんとんと階段を上って来る
朝日の射す窓辺に立つ僕は
見上げると
春の青空に透けて
目尻を下げた雷造さんの顔が
浮かんでいた
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