僕の手/ピッピ
 
しょっぱいスープにつけられた
エビのようにうずくまって
昨日の再来を待っている
明日なんて一つもいらない
歪んだギターになりたくて
誰かを傷つけたくなくて
歌った端から消えていく
言葉のようにもなりたくて
ああ 僕の手ではどうしようもない世界が広がる

誘蛾灯の光の下で
嬉しそうに舞う虫になる
切ない瞳を生まれつき
与えられたチワワになる
誰かを撃ち殺したくて
力の足りない雨になる
此の世の何処かで泣いている
声の聞こえない人になる
スケールの大きすぎる話に囲まれて
僕は単純な足し算をやっているだけだ

ああ 僕の手ではどうしようもない世界が広がる
ああ 僕の手は可能性を湛えながら
   何もない世界で目的のない我慢をしている
ああ 僕の手は何になれるだろう

撃て!撃て!撃て!撃て!
戻る   Point(5)