「白いワンピース」/hiyoku
 



水にからめとられて 息が出来ない
さらさらと流れる 誰かの筆跡

ペン先はゆらゆらと空を泳ぐ

閉じる 光の残像
まあるくあかい、光の玉つぶ

顔を上げれば

広がる 無限の緑


聞こえない音で体を満たして
白いワンピースの彼女は
つい、と
つま先立ちをする

ふわり 白い裾の

シフォンははらむ 春のきざし


目を開ければ
無地のキャンバス、の上

微かに残る 鼻先の戸惑い


胸の中の、あの子。
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