「白いワンピース」/
hiyoku
水にからめとられて 息が出来ない
さらさらと流れる 誰かの筆跡
ペン先はゆらゆらと空を泳ぐ
閉じる 光の残像
まあるくあかい、光の玉つぶ
顔を上げれば
広がる 無限の緑
聞こえない音で体を満たして
白いワンピースの彼女は
つい、と
つま先立ちをする
ふわり 白い裾の
シフォンははらむ 春のきざし
目を開ければ
無地のキャンバス、の上
微かに残る 鼻先の戸惑い
胸の中の、あの子。
戻る
編
削
Point
(2)