春風/e R i
 
気持ちだけが忙しい
ガラスに叩きつけて割れた
携帯とガラスの破片で上手に手首を切る
一筋の落書きはキレイなオウトツになる

花が咲いた映像を繰り返す
現実のモノクロームは
露光の足りなさのせいだけぢゃない
ピントをぼかしすぎた
あのねじのせいだって
ほんの少しは混じっているんだ

水玉模様のぴんくと黄色に
水色をふーーっと吹き出す
ようやく満足したかと思えば
黄緑が足りない、と
思い立ったように
ばたばたと走り去って
ハサミ片手に前髪を切り落とす
その残骸集めて
ホントは何が必要だったかなんて忘れる

飛び散った破片の片づけが面倒だから
全部踏みにじって空を見上げる
キラキラとガラスの破片
乱反射が丁度良い
ピントはもう少しぼかして

そうぢゃないと現実を極際に染める作業なんか億劫で仕方がないから

準備万端
短い前髪
ピンぼけの写真
空っぽの両手

知らなくてよかったことと
知りすぎてしまっている事実を
上手に愛せそうもないけど
今はここから始まろう

強い、風だ。
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