そらにかえる/美味
 
私は抜けてしまいそうなくらい
雲は白いと言いたげに
青く頬を染めている


  君のほうはもう
  そろそろ目が覚めるころ
  だろうから
  風の便りに
  知らせておくよ



青い平原との境目がない私には
ずいぶんと
世界が広く感じられる
なのに
こんな近い息遣い

次々に
生まれてくる
おたまじゃくし
は一つの
かたまりになって
風に流されていく

かたまりは私の中に溶けて
私と
白い雲と
青い草原を
一本の線で結んでしまう

黙って耳を澄ませると
繋がっているところから
じんわり
生命の暖かさが伝わってきて
落ちた涙は海にかえった
泣き声は風が消してくれた


  君は
  生まれてくるよ
  柔らかな膜に
  包まれているところから


そして近い未来に
私にかえってきた時には
真っ白い雲の上で
君と添い寝したい









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