「我に力を・・」/広川 孝治
 
我に力を与えたまえ
孤独に苦しむ
あの人の心を汲む力を

虐められた子ども時代を経て
何とか大人になり
ようやく得た生涯の伴侶を病で喪い
もはや誰をも信じなくなったあの老人
心はひがみと孤独に複雑にねじ曲げられ
ただひたすらに周りを批判することしかできないあの人の
引っ越し祝いに花束を持って行ったときに流された涙は
ただ孤独に苦しみ愛を求める
素朴な心のあらわれだった

棘のある言動の裏に潜む
切実に愛を求めるあの孤独な老人の心を汲む力を
どうか我に与えたまえ


我に力を与えたまえ
疎外を味わう
あの少年を愛し続ける力を

幼少期に虐待を受け
ただ
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