シュレッダーにマフェット/EnoGu
 
々と、どんどん遠くに
みるみる小さくなってゆくみたいに見えるけど
空は空として
無くなるようなことはけっして無い
そんな、不思議な空をいつまでたっても
ふたりして仰向けにポカンと眺める
ごくたまに
そよぐ木々のはるかむこうに
紅白縞々の工場の煙突がのぞいたり
どこかの港のサイレンのような音が
風にのって聞こえてきたりしても
お互いあまり興味のないことへは
口出しや質問をしない
雑草の駆除
増えすぎた根の間引き
開ききった花の刈り取り
用水路の整備
夜行性の動物から若い苗を守る柵の建設
ふたりのやるべきことは目のまえの菜園に
あきれてしまうくらい
いっぱいあるのだし
ふたりに残された季節なんて
これはもうほんとに
気の遠くなるくらい
いくらでもあるのだから





戻る   Point(0)