さよならをうたう少女のお話/夕凪ここあ
たう
絶え間ない風が生まれ
せかいを吹き抜けて行く
誰にもうたには聴こえることはなくとも
確かに触れていることに
気づかない少女に気づかない誰か
終わりしか生み出せない少女が
知らずに生み出した風が
吹き抜ける
廻っていく
だから少女のうたうさよならは
優しく心地良く 時に悲しみを帯びていた
風が止まないことは
せかいが止まらないということに
少女は決して気づかない
少女には風が自分のうたにしか聴こえないのだから
さよならのうたを知らない誰かもまた
風はただあたりまえのものでしかなかったから
誰も知らない話
誰も見えない話
少女は うたうさよならのうた
今日もうたう
ひとりで
それはせかいが止まらないということ
それはせかいが廻るということ
少女がうたう
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