あわゆきの はつはるに/はな
おふろばのタイルに 線を
ななめに引く
わたしの、ナチュラルは
メイク落としの途中
まだ、水でながしていないとき
のぞきこむので
ゆぶねの、
なにもないさみしいところに
映りこむ
さかさまのこさめが
つよい朝の風にゆれていて
ひかったり
かげったりして
生きるためって いつも、言うね
たばこを吸っている
ベランダの
きまりごとに あいされている
わたしは咽ながら
その一本だけ
みじかくなるまで 吸いつづけて
雲のとばされた空に
わたしをとおってぬけてゆく
白
あなたの匂いが
鼻孔にのこってしまう
紅茶は濃すぎて
つくえの上の書類の
続き柄 の欄に
しずかにふる あわゆき
みょうに燥いで
踏みしだき
ひとつずつ 生まれる熱
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