自己同一性/むらさき
たとえば誰かが自分のことを
「俺は人間じゃなくてロボットなんだ」
とかいい張っているとしたら、
その人は身体的にはロボットではないけれども、
きっと本当にロボットなんだと思う。
脳の中で、彼はロボットと自分を
同一視しているわけだから、きっと本当はロボットなんだろうなと
こちらの方が引き受けるしかないのだろう。愛とかで。
一番つらいのは、いくら自分がロボットだと主張しても、
他人がみんな口をそろえて、
「いや、お前はどうみたって人間だろう。」
とはなから否定してしまう時だろう。
そうすると、ロボットである自分はどこか暗い箱の中に
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