自己同一性/むらさき
 
たとえば誰かが自分のことを

「俺は人間じゃなくてロボットなんだ」

とかいい張っているとしたら、

その人は身体的にはロボットではないけれども、
きっと本当にロボットなんだと思う。

脳の中で、彼はロボットと自分を
同一視しているわけだから、きっと本当はロボットなんだろうなと
こちらの方が引き受けるしかないのだろう。愛とかで。

一番つらいのは、いくら自分がロボットだと主張しても、
他人がみんな口をそろえて、
「いや、お前はどうみたって人間だろう。」
とはなから否定してしまう時だろう。

そうすると、ロボットである自分はどこか暗い箱の中に
[次のページ]
戻る   Point(1)