目覚め/篠有里
それによって夜明けはやって来る。
ほとんど愛おしいと言うべき郷愁の色を帯びた衝撃を伴って
今日もやって来る。三千世界の向こうから。
正しく傾いている背景、
快復したと思っていた身体からの突然の痛みや、
時間に付け加える事のできない予感を切り進みながら来る、
ひたひたの眠りの終わりは、
牛乳よりも白い、充ち満ちた丸い縁を循環し、
薄膜のような記憶によって突然にいつも混ぜられる
冷静な、落とされた心の目次によって今日も
ぺらぺらとめくられるべきものだ。
(ひとつの物を通して)
(切り通し)
(もののこえ)
(ふ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)