目覚め/篠有里
 
それによって夜明けはやって来る。

ほとんど愛おしいと言うべき郷愁の色を帯びた衝撃を伴って

今日もやって来る。三千世界の向こうから。

正しく傾いている背景、

快復したと思っていた身体からの突然の痛みや、

時間に付け加える事のできない予感を切り進みながら来る、

ひたひたの眠りの終わりは、

牛乳よりも白い、充ち満ちた丸い縁を循環し、

薄膜のような記憶によって突然にいつも混ぜられる

冷静な、落とされた心の目次によって今日も

ぺらぺらとめくられるべきものだ。



(ひとつの物を通して)

(切り通し)

(もののこえ)

(ふ
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