二つ折りの想い/夕凪ここあ
 
想いを残したい、と
言葉を紙きれに書いては
それを二つ折りにする
こうすればいつまでも色褪せない気がするでしょ
とかわいらしく笑うと
今日も君は紙を折るものだから
机の上はいつも君の想いが横たわっている

朝起きるとおはようと
部屋の中に声をかける
こうすると一日が気持ちよく始まるの
と言う君の隣で伸びをすると
そんなに背伸びしなくてもいいんだよ
と心配そうに寝癖頭で見つめてくる

夜眠るときには
君は羊を数えるらしい
羊がいくらねぇねぇと騒がしくても
羊は心地良い眠りに誘ってくれているの、と
朝食のときに話してくれた

夕方
橙に色づく部屋の片隅で

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