底流の鏡/カンチェルスキス
 
 ドブ川の橋でさっきまで電車に乗ってたやつらと
 すれ違った。
 改札を抜けて
 階段をのぼり
 上りのホームに立った。
 自動販売機の前でカップのホットコーヒーを
 待った。
 出来上がるまでに
 いろんなことが頭に浮かんだ。
 指紋にカップの熱を感じるずっと以前に
 そのことを忘れた。
 進んで
 ホームの屋根が途切れる手前のベンチに座った。
 胃にコーヒーの熱が焼きついた。
 白い息が出た。




 誰かの靴が
 おれの目の前を通り過ぎた。

 



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