土筆/霜天
そこにやさしく出来そうな気がして
後ろに回した手でしっかりと繋ぎ合わせて
周回遅れの二順目で考え込んでいる
白く霞んで、言葉は
国語の教科書の裏側の回りくどさで
声を揃えて読まなければ
先に行けそうもなかった
春が
高く振り上げた傘の隙間に
春が
世界に逃げるための角度と一緒に
春が
音の無い雨に誰もが気付かないように
春が、もう街の余白から中空へ侵攻している
ように
約束もない言葉をどこかで望んで
伝えきれない曖昧さに体を傾けて
全てを見せない居心地の良さに眠気を感じて
芽吹いた、予感がいつも燻っていること
言葉に、書きかけの手紙の行間に
いつかはやさしく出来そうな気がして
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