凝視する紙/ミクタギラッカ
定位、位置がずれて、朗らかに回転するきのう、三枚目で溺れたはずで、橙や赤、濃紺なんかをうすめずに、厚く塗りたくった回覧板、カンバスの匂い、ここで止めてしまった回覧板、玄関前で立ちつくし――ずれた。するどい鋭さで絶壁するページ、内の様子ははかり知れないので、羊を紛れ込まし、ます ます風叫のようだ羊、見分けのつかぬほど厚く塗られた、カンバスのザラザラで匂った、肉、体、の定位、一瞬ばらばらになったのかという具合のずれ、真っ赤なかおが、回覧板に描かれていた。こどもに乗られているブランコ、の上のこども、彼は、または彼女が、頭上のふきだしには一体なんと書いてあるのか、ずれていて、読めないようだ、公園には、たどり着く機会が多くて、テニスやランニング、水泳を、鳥の糞に塗れながらも、慎ましく実しやかにこなせている、人々かおが厚く、真っ赤で読めない、背中に背負ったゴツゴツの壁、漆喰で白いので、回覧板は床に落ちた。
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