肺に混じる雑音/フユキヱリカ
ゃない
きみにやさしいことばをあげたいんだ
きっと うまくいく と
つぶやいて
明日を待って眠る
ただ眩しくて見えない空、
青空のファルセット
[振動数]
震わす唇のクラップ
コホン、と
吐き出した息
真っ白いコンクリートの壁を
叩きつけるよう何度でも
ハウリングするたび
君の肋骨が持ち上がる
通過する粗暴な雨を
待つ花のようだ
祈るようにただ待つだけ
じっと暗雲を睨んで
あおいあおい血管に
水滴が落ちる
てのひらを強く
握り締めても 振動数がたりない
味のないスプーンを
君がおいしいと頬笑む
そう、おいしい と
膝の上に涙を包んで
わたしはそっと席を立つ
君が
細長いチューブに成ってしまう
わたしの名前をもう
覚えることはなくても
その眼で見ていてほしいの
*
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