永遠の 現在/水無瀬 咲耶
ふきっさらしの荒野だ
私に遺されたのは 道なき道
この生命のゆらめく灯火のなかに
失った君の幻影をとどめ
ずっとずっと 歩いてゆこう
永遠の 静寂を生きる君
目を閉じれば 鮮やかに浮かぶ
太陽のまなざし
つややかな髪の淡い香り
耳元でいざなう風のささやき・・・
過去と 現在と 未来が 狂おしく絡みあい
無防備な五感を激しく締め上げてくる
叶えられることのなかった 夢や約束
その羽毛のような懐かしい気配をまぶたに感じ
一呼吸 一呼吸を噛みしめ 生き抜いてゆくよ
カラダを駆けぬける時代や出来事は
何とか引き出しに詰め込めるけれど
想いは妖しく この胸の時空を彷徨っている
注: 彷徨う<さまよう>
2002年6月の作品を推敲
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