夜空/マッドビースト
午前二時の町に
星空はなかった
海の向こうの国に
旅立ったまま
この町の空は留守になっている
遠い都会に行ってしまった
若者はもう生まれた町のことなど
忘れてしまっただろうか
星空のない町は
それでも30メートル置きの
街頭の灯りでほのかに明るい
若者に捨てられた町は
若者のことを忘れてしまっただろうか
暗くならない空は
愚鈍だ
夜ともなればまだ空気は冷たく
風が顔を擦る
僕は故郷を忘れてしまっただろうか
あるべきものがないような気がする
なにがないのかが分からない
僕の心も愚鈍だ
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