元年/霜天
また、君を待っていたいから
静かに爪を切るたびに
振り分けられる私を想う
君が生まれる
空をもう一度構築したい、から
また少しの嘘を零した
細分化された過去が、崩れて
いくつかの今に私がいる
元年
繰越しの日付に
父や母から零れていったものが
もう戻れない漣をここに残した
融解していく
穏やかに溶け合っていく
ふたりが恋人、だった姿が
私の言葉では絵にならない
遡りながら写真は
どこまでも父と母だった
ふたりはなぞる指先から
また少し、溶けた気がする
崩れそうな岸辺から
海に帰りそうな夢を見ている
また、君に逢いたいから
並び替えた順路の
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