あぶくの中の十七歳/夕凪ここあ
泡になりたい
そう望んだのは十七歳 夏の日
ラムネの底から生まれる
消える気泡に見とれて
曖昧な私も溶けてしまいたい
いっそ
いつか
本の一部を鋏で切り取った
一片一片を繋ぎ合わせて
それを言葉と呼んでいた
ぎこちない 偽物が汚い
言葉を失った
あれは 十七歳
隣の泣き声に何故と聞こうにも
私の口から発せられるそれは
ひどくぎこちなくただの記号
だから止めておきました
ちょきちょきちょき
と相変わらずに鋏を滑らせて
存在を確かめようと
繊細 な年十七歳
切り取っていたのは想いを寄せる誰か
あれは十七歳の
今日のような夏の日のこと
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