青い円形の家?双子の姉妹/前田ふむふむ
 
おとぎ話に現れるような青いガラス張り、きらきらと光る円形の家、艶やかな肉体を生きる双子の姉妹が住んでいる。空気が呼吸している肌を一枚脱ぎ捨てる、瑞々しい体液の雫を垂らす木々、凍る岩。双子の姉妹が暗闇の白い夢の街をさ迷う爽やかな朝。緑の大地の裂け目を解剖するひかりが、眼の棲家を転々と変える。静けさは朝の気配をいつまでも引きずり、美しい双子の姉妹は、裸体を寄せ合い、羽根の揺り篭の中を暖める。羽根を千切る鴉の囁きが、太陽が天中にあることを、双子の姉妹に教えるまで。
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双子の姉は、小さな橋の上から、青い円形の家の生い立ちをなぞる。きのうの空が溶けて、きょうの太陽が溶けて、あしたの雲が溶けて、橋
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