おでん/花丸ぺけ
あんた欲しがってんだねと
思はせたらあんたの勝ち
数ある具の中で
濁ったつゆの中で
ぼくらはプカプカと泳いでる
もっと煮詰まって
しまいににゃ焦げてじらされて
胃袋じゃないどこかへ消えてゆく
あんた食べたいんだねと
思はせたらあんたの勝ち
くしに刺されて決まった運命を
あんたの胃袋と共有する
ぷかぷかと彷徨ってた時代が懐かしい
あんたきっとたべたかったんだね
おでんの陰に隠れた悲しい物語
煮ることさへ忘れさられた気持ち
あんたにきっとたべられたかったんだろうね
きっとそう思った時点から
覚悟しなきゃ
おでんなんてやってられない
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