春、百舌の速贄は/美味
 
しんと静まり返った
私は中空

見果てぬ層雲の雪崩れは
悔悟の波



あぁ

こんなにも

月は小さいというのに




清かめく狂われた木蓮の
紫を濡らせた私は朝露

かくも美しい残像に
何を感じ入れば
この憂いを飲み込めるのか

速贄(はやにえ)を啄ばむ鳥は
理由など知る由もない



あぁ

こんなにも

月は小さいというのに

余りある紫匂







私の

確かな不確か







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