鳥/a.u.i.
 
私の前には先生が歩いていた
あの角まで あの角曲がるまでに
奴をどう調理してやろうか、
そんなことばかりが頭を滑走
肩越しに見え隠れするオレンジを睨む
舞い散るチョークの粉は美である
どうして
私が私、であり
あなたが、あなたであることを
わかれないのであろう
そんなことたちの所在を
細やかな粒子の中に探した


先生は、
先生は
自分は白血病であると私に告げた
私は酷く怖かった
悲しくて毎晩泣いた
怖くて抱えすぎた両の膝はVの字を成したままで
いずれ歩けなくなった
でもそのことは全く
怖くは無かったんだ
私は祈った
不甲斐ないが祈った、不甲斐ないが
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