コメディに関する考察/角田寿星
 
(その1)

思い出すのは高階杞一さんの『早く家へ帰りたい』。

旅から帰ってきたら
こどもが死んでいた

で始まる詩だ。『キリンの洗濯』やら「タンスとダンスを」などの飄々とした詩で彼の詩に親しんできたぼくは、物凄いナンセンスをこの一節に感じとった。
彼のこどもの死がほんとなのかフィクションなのか、すぐにはわからなかったんだ。

この一節の後に続く詩文は哀しいくらいにマジで、どうやらこどもの死はほんとらしいことがわかるんだけど、ぼくにはどうしても、いきなり2行めでこどもが死んじゃう、その事実が受け入れられなかった。

後に、高階さんの子の雄介くんは難病で幾度も入院したり手術
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