春雨。フラッシュバック/かのこ
嘘くさいキャラメルは甘ったるいばかりで
それで退屈をしのごうとしているのね、きっと。ばかな女。
春はこの街にも雨をもたらす。
屋根の上のカラスが濡れて鳴いている。
しっとりと、痛く
そしてまた飛んでいく。
まるで耳は空気で塞がれたよう
唇を開くことも滅多になくなった今だから
この場所にはいない人物を
いつかの日和を
雨は思い出させる。
だけどそれらの光は全て瞼の裏側で
彼の言っていたUNDERCOVERはそこに隠されている、そうフラッシュ。
目が覚めることもない
時は確実に過ぎ去っていくのだから
だけどそれらの光は全て瞼の裏側で
彼の言っていたUNDERCOVERは、ああきっと。
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