今日も、一日になる/霜天
 
今日が、一日になる
間に合わせの爪先を
朝焼けの海に潜らせる
寝息を、街は敏感に拾い上げていく
遠く聞こえる海鳴りのようだ


  *


ただいまやおかえり、よりも
  届いていくはずの何かは、言葉にならなかった

間違えるその指先ばかりが
  晴れた、その人の仕草の行方を真似するので

想うことばかりが、青い空を構築していく
  どれが正解かと尋ねるばかりで、答えてくれない紙吹雪

私であり、君である、はずだった言葉が
  上手くいけずに燻っている、空の空、星のない場所

そして今日も、わたしは
  私になりたかった、五円玉を投げ入れる神社の隅で
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