【短歌祭参加作品】教えて、エロい人/合耕
 
高らかに目押しのできないふりをした私に和尚が近づいてくる

頭蓋骨からして大きめだって言うなら猫の腹をあてがってやる

涙目で「バスタブの縁に上ってたかどうか教えて」なんて無意味だ

そこそこに削った鉛筆とすれすれに伸ばされた腕に当たりたいだけ

ハイチに行きたいと書いた君の字面からなんにもならない生き血が吸えた

キューピーマヨネーズの分量を書いた紙が古くなって古くなって笑ってしまう

このトンネルだって誰かの持ち物です だから私の背に乗りなさい

マシュマロの過剰包装に抗議して湿ったままの指を差し入れる

注射器を捨てる丘にはスカートの生地だけ抱えて永遠に伏せ

眠そうな目で消火器を扱ってしまったから血はここに溜まったのか
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