犬の名は全て一郎     (お暇な時にでも読んで下さい・・・)/ふるる
 
一郎は華子と2つ違いのいとこ同士。二人は親の家が近いこともあって、よく一緒に遊んでいた。
今日は華子の屋敷の庭の竹やぶにいる。
「一郎ちゃん、今日は一郎ちゃんが犬をやって頂戴。」
「華子ちゃんはずるい。昨日もおとついも華子ちゃんは犬でなかった。」
「いいのよ。今日と昨日とおとついと一郎ちゃんが犬で、明日と明後日と明々後日は華子が犬なんだから」
明日と明後日は休日で、休日は遊ばないことになっている。
華子より年上なくせに、一郎はいつも口で言い負かされていた。
仕方なく犬をやっていると、勝手口から、白髪にステッキの男が出てきた。二人の祖父の昌造である。
「なんだ、一郎はまた犬か。」

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