さびしい海辺の光景/前田ふむふむ
 
図。
   たどたどしい軌道を
その尖った嘴で咥えて行け。
遥か水平線を、見えたり隠れたりしている貨物船よ。
おまえは、わたしのうつろいゆくこころだ。
やがて見えなくなり、
孤独な冬を泳ぐだろう。
なまり色の広々とした顔。
わたしの惨めなこころを映すさびしい海よ。
傷だらけの海よ。痛くはないか。
お前と同じ私のこころに怒りで
石を投げているのだ。
夏を隠した暗闇よ。鮮やかなひかりを処刑した海よ。

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