ペンシル/広川 孝治
彼女の落としたペンシルを
返しそびれてそのままに
そっと握りしめてみて
ドキドキしていたこともある
机の引き出しその奥に
眠っていましたペンシルが
転がり出てきたその時に
あの日の気持ちがよみがえる
幾人女性と付き合って
幾たび分かれて来たのでしょう
今となっては僕の胸
ドキドキできない鉄の胸
ドキドキしてもいられない
現実の中で生きてます
時には食うか食われるか
競争社会で生きてます
獲得したもの多いけど
手放したものも沢山で
いつの間にか僕の胸
鎧のように覆われて
気がつきゃ周りに誰もいない
僕の周りに誰もいない
一人ぼっちで座っ
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