四月のバラッド/狸亭
 
青い空に満開の桜はらはら散りそめる春
友らがみんなえらくみえおいらはネクラ
それでも今はあかるんでくる季節である
喧騒のオッフィスでひとりしずかに仏頂面
『ローマ帝国衰亡史』と睨み競(にらみくら)
これはまたニンゲンのいけ生け袋やら頭陀袋
なんでもはいる混沌の原型なまぐさい穴蔵
みなぎる火の色血の色涙の色吹きすさぶ風の色

つめたい風に桜はらはら消えて行く春
『暗殺百美人』の三番目に「やァ」をみつけてから
『B級詩人のつぶやき』はつづいているのである
新刊の『暮尾淳詩集』の中にも二篇の「さくら」
「椰子と葉のグラフテイ」原満三寿ウルトラの綺羅
わが詩人たちのすぐれ
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