桜子/
銀猫
春が
はるが
傘の水滴に溶けて
声も密やに
幼いまるみの春の子に
子守唄を聴かせる
まだ固く木肌の一部の様子で
繚乱、を隠した蕾は
雨にまどろみ
陽射しに背骨をつよくして
空の号令を待っている
桜が
さくらが
紛れも無く
祝宴と
小さな砂混じりの風を呼んでいる
風は空色を待っている
髪上げ初めし愛しい額のうえに
瑞々しく春の産毛を輝かせるおまえを
わたしは待っている
まって いる
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