一日の始まりの終わりに/紫音
 
物事の本質という名の傍若無人が
背後にするりと忍び寄る


斬り付けられる意識


覚醒したそれは
黒い影を纏って立ち上がる

踏み出した足は
敷き詰められた石を穿つ

旅人の水筒には
一滴の光も残ってはいない


たたたたた

ととととと


指先でリズムを刻み
軽やかな口笛はどこか擦れ

見上げた空に浮かぶ
昼間の満月は遠い



切り裂かれた空

引き離された道


息をすること
食べること

それは眠るほどに貴重ではなく
起きるほどに日常でもない


走り去る車を見
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