軌跡/
アンテ
生った
通りがかった人たちに実を配って
一列にすわって頬ばりながら
とりとめもなく話をしていると
気持ちがよくなって
手足を折りたたんで小さく丸まった
通りにそって
遠いかなたまで
立派な樹が点々と立っていた
目を閉じると
胸が温かくなって
それはゆっくりと全身に広がった
風邪ひくよ
だれかに肩を叩かれたり
揺すられたりしているうちに
ますます感覚が遠のいて
しょうがないなあ
だれかが観念したように言った
身体が軽くなって
ゆっくりと転がりだした
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